深夜に緊急連絡が入ったとき、たまたま画面の前にいたスタッフが一人で電話をかけ、ほかの人は何が起きているか知らないまま受付を続けている。落ち着いたあとで「結局どうなったのか」「誰が現場に向かったのか」を誰も答えられない。キャストの安全確認が、その場にいた担当者任せになっている店舗は少なくありません。
この記事では、CYENのSOS通知に何が表示されるのかを整理したうえで、通知が届いたあとの当番・連絡担当・現場担当をどう分けるか、不在時の代替担当と対応記録をどう決めておくかを、そのまま店舗のルールにできる形でまとめます。
通知は届いているのに、対応が止まる
SOSボタンのような仕組みを入れても、現場で止まるのは「通知が来ない」からではありません。来たあとの動きが決まっていないからです。
画面を見ている人が決まっていない
CYENの緊急連絡は、予約ボードを開いている画面に表示され、同時に警報音が鳴ります。裏を返すと、全員が受注フォームや売上画面を開いていた時間帯は、音も表示も誰にも届きません。「誰かが見ているはず」という状態は、実際には誰も見ていない状態になりがちです。
ボードは60秒ごとに自動で読み込み直しますが、その画面で受注フォームに文字を入れ始めた端末では、入力内容を消さないために自動更新が止まります。受付を打ちながら見張る運用は、いちばん忙しい時間帯にいちばん効きません。
見た人が次の一手を持っていない
もう一つの詰まりどころは、通知を見た人が「自分が電話していいのか」を判断できないことです。新人スタッフほど、店長に連絡してから動こうとして一拍遅れます。安全確認の最初の電話を誰がかけるのかを決めていないと、通知の速さは生きません。
SOS通知で店舗側に表示される内容
キャストが専用アプリから緊急連絡を送ると、予約ボードの上部に通知センターが開き、その先頭に赤枠の「緊急連絡アラート」が件数つきで並びます。通知が1件もないときは通知センター自体が表示されないので、赤枠が出ている=未対応の連絡があるという読み方ができます。

通知に並ぶ4つの情報
1件の通知に出るのは、送信日時、キャスト名、注文番号、選ばれた種別の4つです。顧客名や電話番号は通知には出ません。現場の場所を知りたいときは、注文番号から受注詳細を開きます。そこにキャスト、予約時刻、コース、受付種別、ルームまたはエリア・ホテル・部屋番号が入っているので、連絡担当はそのまま電話と手配に移れます。
5つの種別で緊急度を読み分ける
キャストが選べる種別は「ルール外要求がひどい」「盗撮された」「乱暴された」「至急連絡ください」「とにかく部屋に来てください」の5つです。送信できるのは接客中の予約だけなので、どの予約で起きているかは常に特定できます。種別ごとの初動は、店舗側であらかじめ対応の重さを決めておきます。
- とにかく部屋に来てください/乱暴された:電話をかけるより先に、現場に最も近いドライバーを向かわせる
- 盗撮された:まず電話で状況を聞き、キャストを室外に出すかを決める
- ルール外要求がひどい:電話でキャストと代わり、店舗から客へ直接伝える
- 至急連絡ください:内容が読めないため、最短で電話をかける担当を固定する
SOS通知そのものは、警察や警備会社へ自動で連絡する仕組みではありません。外部への通報が必要かどうかは、電話で状況を聞いた人が判断します。だからこそ、最初の電話をかける人を決めておく価値があります。機能そのものの流れはSOSボタンと緊急アラートの運用で詳しく説明しています。
通知後の役割を3つに分ける
安全確認を担当者任せにしないために必要なのは、人数を増やすことではなく、1件の通知に対して誰が何をするかを3つに割ることです。小規模店舗なら1人が2役を兼ねても構いません。決めておくべきなのは兼務の有無ではなく、名前が空欄の役割を作らないことです。
| 役割 | やること | 使う画面 |
|---|---|---|
| 画面当番 | 予約ボードを開いたままにし、赤枠が出たら声に出して全員に伝える | 予約ボード |
| 連絡担当 | 注文番号から現場を特定し、キャストへ電話して安全確認を取る | 受注詳細 |
| 現場担当 | ドライバーの手配、店舗からの臨場、必要なら外部への連絡 | 送迎アサイン |
画面当番を独立させるのがこの分け方の肝です。受付を打っている人を当番にすると、前述のとおり自動更新が止まり、音も鳴らない時間が生まれます。繁忙帯だけでも、ボード専用の端末を1台置いて当番を割り当てると、通知の見落としが構造的に減ります。
不在時の代替担当を先に決める
役割分担が崩れるのは、だいたい店長の休みと送迎の出払いが重なった日です。「連絡担当が電話中なら次は誰か」「現場担当が送迎中なら誰が向かうか」を、シフト表と同じ粒度で先に決めておきます。出勤の組み方そのものはシフト管理システム完全ガイドで扱っています。
キャスト側にも、通知を送ったあとに何が起きるかを伝えておきます。「送信すると店舗の画面が鳴り、まず電話がかかってくる」とわかっていれば、迷って送信をためらう時間が減ります。アプリでできることの全体像はキャスト専用アプリの機能一覧にまとめています。
安全確認の担当を権限で裏づける
役割を決めても、その人の画面に通知が出なければ意味がありません。予約ボードは「予約・受付管理」の権限で開きます。スタッフ権限設定でこの権限を渡しておけば、店長以外でも通知を受け取り、対応後に確認済みへ切り替えるところまで担当できます。

逆に、売上だけを見るスタッフや送迎専任のドライバー担当にこの権限がないと、その人は当番に入れません。当番表を作る前に、権限の一覧と見比べて、当番に入る全員へ権限が渡っているかを揃えておきます。
対応の記録をどこに残すか
対応が終わったら、通知の右側にあるボタンで確認済みに切り替えます。切り替えた通知は通知センターから消えて、残りの未対応だけが画面に残る形になります。
ただし、消えたあとの通知を一覧で振り返る画面はありません。何時に誰が電話し、どう収めたのかを翌日に共有したいなら、その内容は自分たちで残す必要があります。実務では、該当する注文の受注メモに時刻と対応者を追記しておくのが簡単です。同じ客で再発したときに、顧客側の記録からも経緯を追えるようになります。
運用はどう変わるか
| 観点 | 担当を決めていない店舗 | 当番・連絡・現場を分けた店舗 |
|---|---|---|
| 通知に気づく人 | その時間に画面を見ていた人だけ | 画面当番が常にいて、声で全員に伝わる |
| 最初の電話 | 店長の指示を待って遅れることがある | 連絡担当がその場でかける |
| 現場への移動 | 手が空いた人を探してから動く | 現場担当が送迎の状況を見て手配する |
| 担当者不在の日 | その場の判断に任せきりになる | 代替担当が決まっていて同じ手順で動ける |
| 翌日の共有 | 記憶に頼り、経緯が残らない | 受注メモに時刻と対応者が残る |
通知が届く速さは仕組みが担保しますが、そこから先の時間は店舗の決め方で変わります。キャストの安全確認を一人の記憶と機転に預けない状態にしておくことが、結果としてキャストが通知を送りやすい空気にもつながります。
店舗側で決めておく4項目
- 当番と時間帯:予約ボードを開いたままにする人と端末を、シフトと同じ表に書く
- 連絡担当と代替:最初に電話をかける人と、その人が出られないときの次の人
- 種別ごとの初動:5つの種別のうち、どれを「電話より先に人を向かわせる」扱いにするか
- 記録の置き場所:対応時刻と対応者を受注メモに残すこと、書く人を誰にするか
4項目とも、決めるのに新しい機能も費用もいりません。朝礼で読み上げられる長さにして、新人が入った日に渡せる形にしておくのが現実的です。
よくある質問
スタッフのスマホにSOS通知は届きますか
緊急連絡が表示されるのは予約ボードの画面です。スマートフォンのブラウザーでボードを開いていれば同じように表示されますが、画面を閉じている端末には届きません。当番は予約ボードを開いたままにしておく、という運用が前提になります。
警報音が鳴らないことはありますか
ブラウザーが音の自動再生を止めている場合は、短いビープ音に切り替わって鳴ります。端末がミュートのときは当然鳴らないので、当番の端末は音量を上げた状態で置いておきます。音だけに頼らず、赤枠が出ているかを目でも見るようにしてください。
キャストが誤って送信したときはどうすればいいですか
誤送信でも手順は同じで、連絡担当が電話をかけて安全確認を取り、問題がなければ確認済みに切り替えます。送信を責める運用にすると、本当に必要なときに押されなくなります。誤送信が続く場合は、送信前の確認メッセージの意味をキャストへ伝え直すほうが効果的です。
スタッフ全員に予約ボードの権限を渡しても大丈夫ですか
予約・受付管理の権限は、予約ボードと受注まわりの操作を含みます。安全確認の当番に入る人には渡し、売上や会員情報など別の権限は必要な人だけに絞る、という分け方が現実的です。権限は役割ごとに分けて付けられます。
通知が届いたあとの画面を、実際に触って決める
当番・連絡担当・現場担当をどう割るかは、実際の画面を見ながらのほうが早く決まります。デモ環境で予約ボードと権限設定を触りながら、自店の人数に合う分担を組み立ててみてください。
