「今日の21時から、この子は空いていますか」。チャットが「空いています」と返したのに、その時間はもう退勤していた。お客様は行く気で予定を空け、受付は謝罪から会話を始めることになります。チャットボットで起きるトラブルの多くは、難しい相談ではなく、出勤表を見れば答えが決まっている質問で起きます。
この記事では、AIチャットを店舗データと連携させ、料金とシフトを正確に答えさせるための線引きを整理します。何を事実としてAIに渡し、何を答えさせず、どこから先を店舗が決めるのかを、CYENの会員向けAIチャットの動きに沿って説明します。
誤回答は知識不足ではなく、埋め合わせから起きる
出勤表を持たないチャットは、それらしい時間を作る
一般的なチャットボットは、店舗の今日の出勤表も、その日の受注状況も持っていません。それでも会話としては自然な文章を返そうとするため、実在しない空き時間や、今日は入っていないキャストの名前が出てきます。答えを知らないから間違えるのではなく、知らない場所を文章で埋めてしまうから間違えます。どこまでを任せられる範囲とみなすかは店舗向けAI予約チャットボット導入ガイドで整理していますが、その前提になるのが、事実をどこから取るのかという設計です。
料金を言い切らせると、受付が訂正することになる
料金はさらに厄介です。コースの基本料金だけで決まるなら簡単ですが、実際には指名料、オプション、エリアごとの交通費が乗ります。チャットが会話の勢いで総額を言い切ると、あとから受付が金額を訂正する役回りになり、その一往復で信用が削れます。料金は「速く答えること」より「一つの表と食い違わないこと」のほうが大事です。
会話のたびに店舗データを読み直す
CYENのAIチャットは、メッセージを受け取るたびに管理画面と同じデータベースを読み直し、次の内容を事実としてAIに渡します。AIが自分で調べるのではなく、システムが揃えた事実の上でしゃべらせる形です。
- 対象営業日に公開されている出勤(キャスト名と開始・終了時刻)
- その日の受注(キャンセル以外の時間帯と、予約・確定・接客中といった状態)
- 会話から拾った希望キャストが、その営業日に出勤しているかどうかの判定
- 出勤がない場合の、14日以内の次回出勤予定
- 在籍中で公開しているキャストの一覧、有効なコース名、有効なエリアとホテル
- 会員の呼びかけ名、お気に入り、過去10日のプロフィール閲覧履歴(参考情報)

「出勤時間外です」と言い切れる理由
希望のキャストを名前で伝えると、その営業日に出勤があるかどうかが先に判定され、出勤時間とあわせてAIへ渡ります。だから「10:00〜15:00なので21時は出勤時間外です」と言い切れますし、出勤がない日なら、次に入っている日を添えて返せます。深夜をまたぐ出勤は25:00や27:00の形で表記されるため、翌1時と当日13時を取り違えることもありません。曖昧な言い回しを予約の骨組みに変換する部分は自然言語で予約できるチャットボットで扱っています。
公開されている出勤だけが対象になる点も、店舗データと連携させるうえでは重要です。社内で仮置きしている未公開のシフトは案内に出てきません。出勤表に載せた時点で、ホームページにもチャットにも同じ内容が回ります。
料金はコース設定に一本化する
料金の正本は店舗設定のコース設定です。ここに登録したコース名、所要時間、基本料金が、そのままホームページの料金表ページになり、同じコース一覧がAIチャットのコース判定にも使われます。値上げやコースの入れ替えをしたときに直す場所が1か所で済むのは、店舗データを一本化しているからです。

チャット側が扱うのは、この一覧にある有効なコース名だけです。お客様が「60分でお願いします」と書けば、登録済みの60分コースとして受け取り、所要時間から終了時刻を組み立てて出勤時間に収まるかを見ます。存在しないコースを勝手に作ることはありません。
金額を言わせない設計は不親切ではない
会話の中で総額を断定させない代わりに、料金表ページへの導線と、スタッフが最終金額を詰める流れを残します。お客様から見れば、チャットで出た金額と受付で言われた金額が食い違わないことのほうが安心です。コース料金は誰でも見られる表にあり、指名料やオプションが乗る部分だけを人が詰める。この役割分担が、結果としていちばん正確な案内になります。
連携の精度は店舗側の運用で決まる
| 観点 | 店舗データとつながっていないチャット | 店舗データと連携したAIチャット |
|---|---|---|
| 出勤の答え方 | それらしい時間を文章で埋める | 公開済みの出勤時間をそのまま回答に使う |
| 指名の可否 | 今日入っていないキャストも案内しうる | 出勤なしと伝え、次の出勤予定を添える |
| コースの扱い | 一般的なコース名を作ってしまう | 店舗に登録された有効なコースだけを扱う |
| 料金の答え方 | 会話の流れで総額を言い切る | 料金表に一本化し、最終金額は店舗が詰める |
| 変更の反映 | 手入力した案内文を直すまで古いまま | 設定を保存した時点で次の会話から切り替わる |
公開していない出勤は、案内から抜け落ちる
AIが答えられる範囲は、店舗が公開した範囲と同じです。出勤を入れたつもりでも非公開のままなら、チャットからは出勤がない日として扱われます。逆にいえば、出勤表の公開をいつものリズムで回している店舗ほど、AIチャットの案内精度は自然に上がります。特別な調教は要らず、日々の入力がそのまま回答の質になります。
設定を直すと、次の会話から切り替わる
コース、エリア、ホテル、キャストの設定を保存すると、AIが参照しているマスターの一時保存が作り直されます。コースを1本増やした直後の会話から、新しいコース名が候補に入ります。出勤と受注はもともと会話のたびに読み直すため、待ち時間はありません。店舗データと連携させるというのは、つなぎ込みを一度やって終わりではなく、更新がそのまま案内に届く状態を保つことです。
よくある質問
出勤していないキャストを案内してしまいませんか
案内の材料になるのは、その営業日に公開されている出勤だけです。名前を挙げられたキャストについては出勤の有無が先に判定され、出勤がなければその旨と次の出勤予定が返ります。未公開のシフトや退店したキャストは候補に入りません。
料金をチャットで答えないのは不親切ではありませんか
コース料金は料金表ページで公開されているので、金額そのものは誰でも見られます。チャットが避けているのは、指名料やオプション、交通費まで含めた総額を会話の途中で言い切ることです。訂正が発生しないぶん、結果としてお客様の手間は減ります。
出勤を入れ直したら、すぐチャットに反映されますか
出勤と受注は会話のたびに読み直すため、公開状態で保存すれば次のメッセージから反映されます。コースやエリアなどの設定も、保存した時点で参照先が作り直されます。案内文を手で書き換える作業は発生しません。
顧客の情報はどこまでAIに渡りますか
AIチャットは会員ログイン後のページで動き、会話に出るのは呼びかけ名、お気に入り、閲覧履歴といった案内に必要な範囲です。チャット側からお名前や電話番号を尋ねることはなく、予約の確定はスタッフが受注として扱います。
料金とシフトの答え方を、実際の画面で見る
出勤表とコース設定がそのまま案内に出る様子は、デモ画面で触っていただくのがいちばん早く伝わります。自店の運用に合うかどうかのご相談も承っています。
